株式会社伍魚福 代表取締役社長

読書メモ2021.07.11(Sun)「ルワンダ中央銀行総裁日記」服部正也著

新聞の広告で今売れていると知り、読んでみました。

こんなすごい人がいたことを今まで知らなかったことが驚きです。

著者は元々は日銀マンです。

1965年(昭和40年)、IMF(国際通貨基金)からの依頼を受けてアフリカの発展途上国、ルワンダの中央銀行総裁に任命され、6年間在籍し、超赤字国家ルワンダの経済を再建した、ご本人による記録です。

ルワンダは、ベルギーの植民地から、第二次世界大戦後、独立した国です。

この本の<増補2>に書かれていますが、ルワンダを含めて、アフリカ諸国の独立は、宗主国側の都合による「与えられた独立」だったそうです。
したがって、国民側には人材が不足し、旧宗主国の外国人顧問だよりの国づくりとなっていました。

服部氏の前任の中央銀行総裁は、オランダ人。しかし事実上なにもしておらず、ルワンダからの要請で任期前に解任された、というマイナスからの再建でした。

服部氏は、1965年3月、着任直後のカイバンダ大統領との5時間にわたる会談で大統領の全面的な信頼を獲得し、経済改革全般の立案を依頼され、実行していくのです。

緩んだ綱紀を立て直すための人事の仕組みづくり。
外国人職員による教育訓練。
厳しい指導にルワンダ人職員から苦情が出た際には、それを取り上げるのでは秩序が保たれないと判断し、外国人職員の講義に顔を出し、集まっている職員に次のように言い渡します。

「ルワンダ中央銀行を立派な中央銀行にすることが私の任務である。この銀行はまったくなっていない。それは君たちのせいではない。君たちはなんの経験も知識もなく銀行に入ったのだ。しかし銀行に入ったからには、そして私の下にいるからには、早く銀行を立派な中央銀行にすることが君たちの責務なのである。私は君たちを中央銀行員として扱う。一人前の大人として扱う。君たちは学生ではないのだ。中央銀行員なのだ。独立国ルワンダの中央銀行員なのだ。私はこの機会に外国人職員に対し、ベルギーやスイスで、新入行員に対するのと同じように君たちを教育訓練することを命ずる。私も君たちが新入日本銀行員であると思って鍛えるつもりだ。外国人職員に対し、この際はっきりお願いする。ルワンダ人職員を黒人であるとか、途上国の人だからなどといって甘やかすようなことは、ルワンダ人を侮辱するものだから一切やめてもらいたい。自分の国の新入行員に対すると同じように、びしびしやってほしい。ルワンダ人職員は大人であるから、それに堪えられるはずであり、それができないものは銀行をやめてもらう」

このお説教(著者の表現)のあと、外国人職員の態度に対する苦情は二度と起こらなかったそうです。
著者はこのように説明します。
「私は甘えと、甘やかすことほど世を毒するものはないと思っている。しかし最近の傾向は人間的という美名で甘えと甘やかしが横行し、人間生活に必要な規律と義務が軽視され、そのために社会が乱れている。組織における人の和は必要な規律ができていて、それが厳格に守られることによって確保されるという、あたりまえの原則を確立することが、ルワンダ中央銀行の職員を人間集団として統一する第一歩だったのである」

こういうことを言える、そして実行できる人。
今の日本にもとても必要な考え方だと思うのです。

著者は、通常の中央銀行の枠にとらわれず、トラックの輸入や、農産物を保管する倉庫会社の設立、バス公社の再建など、ルワンダ経済の発展の基礎を作ります。
そして、ルワンダ人に総裁を引き継ぎ、日本に帰国するのです。

見習うべき日本人像をひとつ見つけることができました。