株式会社伍魚福 代表取締役社長

読書メモ2008.09.13(Sat)「ハゲタカ」 真山仁著

NHKのドラマになっていたのは知っていましたが、見ていませんでした。
先日(9月2日)神戸・三ノ宮で開催された大学の同窓会で著者の真山仁さんのお話を聞きました。
お話を聞くまで著書を読んだことはなかったのですが、読ませていただいた上、ブログに書いてもいいですかとお聞きしたところ快諾いただきました。

真山さんは1962年大阪生まれ、同志社大学卒業後、読売新聞にお勤めになり、その後フリーライターとして活躍。2003年より小説家としてデビューされました。

講演のキーワードは「常識を疑え」。
ノンフィクションとフィクション。どちらが真実を伝えやすいでしょうか。

新聞記者をされていた真山さんは、小説などのフィクションの方が実は真実を伝えやすいと言われています。
ノンフィクションの場合は、誰かが話したことも他の人も認めて(ウラがとれて)事実だと証明できないと書くことができません。
フィクションであれば、取材したことを元に、起きた出来事の本質を読者にわかりやすいようにアレンジ・再構成しながら伝えることができます。

真山さんは「イメージのゆがんでいる業界を小説に書きたい」とおっしゃっていました。

バブル崩壊後、外資のファンドは「ハゲタカファンド」と呼ばれて悪者扱いをされていました。
本当に悪ものだったのでしょうか。もし、外資のファンドが来なかったらどうなっていたでしょうか。

本当に悪いのは、会社を危機に陥らせた元の経営者なのです。
株式の持ち合いなどによって、チェック機能が働かない中、放漫経営によって会社をダメにしたのはだれなのか。
決して外資のファンドが来たことによって悪い会社になったのではありません。

この小説の中にはバブル崩壊後のさまざまな企業の倒産、買収、再建などがモチーフとして登場します。新聞などで表面的には報道で聞いてきたことの裏にある事実をわかりやすく説明していただいています。

小説の冒頭と終わりの部分に引用されているアメリカのロックバンド「ドアーズ」の「The End」。
私もフランシスコッポラ監督の「地獄の黙示録」の中で聞いて以来、今でもよく聞きます。

なにかと共感することの多い小説でした。

真山さんとの出会いに感謝。