株式会社伍魚福 代表取締役社長

くぎ煮資料室地域・社会とのかかわりについて経営について2014.08.30(Sat)「会者定離-詩・句・歌集-」大林悦子さん著に「くぎ煮文学賞」掲載

20140830eshajori.JPG「会者定離」は「えしゃじょうり」と読みます。
仏経典からの言葉で「生者必滅会者定離」(しょうじゃひつめつえしゃじょうり)の一部です。
命あるものは必ず死に、出会ったものは必ず別れるという意味です。
昨日人づてにこの本を貸していただきました。
冒頭のカラーページを開けてびっくり。
「いかなごのくぎ煮文学賞」の表彰状の写真が作品とともに掲載されているのです。
年ごとのくぎ煮の味もままならず塩を引いたり糀入れたり
選者 三田完 先生(作家・俳人)<俳名・知水>
2013年に開催した「第2回いかなごのくぎ煮文学賞」においてグランプリを受賞された大林悦子さんの作品です。
今回、約50年書きためられた句、歌、詩などを集めて自費出版されました。
20130331kugini_event03.JPG2013年3月に開催された表彰式の際の写真です。真ん中の方が大林さんです。
表彰式の記事はこちらです。
著者略歴は次の通り。
1940年香川県坂出市生まれ。
1962年から神戸市立中央市民病院他の病院で看護師として勤務。
2007年に職を辞し、現在に至る。
看護師ならではの人の生と死を見つめての作品がたくさんあります。
初産の妻の屍に号泣する浅黒き肌のたくましき夫
自らの命少しと知れるごと泣かずに注射を受くる幼児
感情も感覚もなき卒中の患者の頭部にメスはひらめく
身寄なき老婆は我に「ありがとう」と伏して両手を胸に合わしぬ
医師や看護師の仕事の重さを感じます。
日々患者さんと接する仕事の過酷さ。
命の尊さ、運命の残酷さ。
神戸新聞の文芸欄にもたくさん掲載されており、その紙面とともにたくさんの作品が紹介されています。
<短歌>
春雨にけぶる海峡大橋は眠れる竜の背骨にも似て
食べてるか眠れているか順調か新卒の子にメールいくたび
<俳句>
ふるさとの友の丹精初荷着く
牡蠣太る風なお寒く光る海
ポケットに去年の銀杏手に遊ぶ
<川柳>
さまざまに波紋拡げる屠蘇の海
若き日の氷も解けて父の墓
その他、思わず笑ってしまう川柳も。
麦飯も残さず食べて今メタボ
「会者定離」というタイトルは、大林さんの7代前のご先祖「もと」さんの辞世の中に記された言葉です。
文政6年(1823年)に書かれた古文書を解読されたものです。
そのご先祖の方の思いを世に出したい、というのもこの出版の目的のひとつだそうです。
「得病患、今年死せん事うたがひなし・・・」から始まる文章の後、次の句が記されています。
会者定離ありとはかねて思ゑども死る我が身のなご里をしさに
別れてもまたおふ里は極楽の花のうてなでたのしみてま津
俗名 もと拝
文政六癸未年四月十九日卒
大林さんの思いの込められた貴重なご本です。
#作品の転載については、大林さんのご許可をいただいています。
ご縁に感謝です。
今後もお元気に作品を作り続けていただきたいです。
ありがとうございます。