株式会社伍魚福 代表取締役社長

経営について読書メモ2011.07.02(Sat)「なぜハーレーだけが売れるのか」水口健次著

20110702harley.jpg日本のオートバイ市場。1982年に329万台と最高の売上を記録。それが2009年には38万台。ピークのなんと9分の1に縮小しています。
1986年のヘルメット着用義務化による減、軽自動車や、最近では電動アシスト付自転車への顧客流出などにより、大幅に減っています。
そんな市場の中、唯一「ハーレーダビットソン」は売上を伸ばしており、2000年に750cc以上の大型バイクでシェアNo.1となり、その後もその地位を保っています。
それは何故か?という問いに答える本でもあります。
1991年に元トヨタ自動車販売の奥井俊史さんという方が社長になり、さまざまな改革をしてこられた歴史が綴られています。
ディーラー網の改革、販売したバイク・顧客データベースの整備、各種イベントの開催など「ライフスタイルマーケティング」の展開・・・。
ハーレーのバイクという「モノ」を売るのではなく、ハーレーの楽しみ方、遊び方という「コト」を売っているのです。
本書の中では、いつも勉強会でお世話になっている流通科学大学の石井淳蔵学長(2008年の出版当時は神戸大学大学院教授)の分析も収録されています。
石井先生によると、ハーレーの強さは「コミュニケーションをベースにした競争力」であるということです。
これは、「モノづくりをベースとした競争力」と対比した考え方で、まさしく伍魚福が現在推進している「コト」(情報、特に買った後にどうなるか等の買う理由)の提案と共通です。
製品の機能性や利便性を重視するのではなく、消費者がその商品を生活の中でどのように意味づけるのかということを考える。
普通のモノづくりベースの考え方でいうとハーレーのように「大きくて重い」ことを欠点ととらえて、小さくて軽いものに改良する。ところが、ハーレーにとっては、これが魅力の源泉となる。
また、モノづくりベースでは、消費者は機能と価格を比較して合理的に判断するととらえるが、ハーレーのようなコミュニケーションベースでは、「男らしい」とか、「社会とは一線を画した自立した感覚」とか、合理性では説明のつかない要素を持った消費者というのが前提となる。
伍魚福も全く商品ジャンルは違いますが、同じ考え方と言えるでしょう。
伍魚福の商品をお買い上げいただいた方にどんな価値を提供できるのか。
単においしい、健康に良い、ということではありません。
周りの方とのコミュニケーションに役立ったり、家族に喜んでもらえてうれしかったり、たまには自分へのご褒美としてだったり。
奥井社長の考え方を引用します。
悩んでも仕方のないことを悩まない。
比較からものを考えない。
挑まない、同じことはやらない。
価格で売らずに価値で売る。
顧客満足-経営の原点で勝負する。
本を読んで、気になって、ハーレーダビットソンのお店へ行ってみました。
バイク屋さんというよりも、ファッションブティックのような感じといえばよいでしょうか。
サイドカーのついたハーレーなら乗ってみたいと思ったのですが(こけなさそうなので・・・笑)、ハーレー純正のサイドカーは製造を辞めたそうです。ちょっと残念。
いただいたカタログも、性能云々というよりも、どうだ、これがハーレーだ!という感じです。
また、一緒に入れて頂いたカタログもハーレーに乗るときに着るウェア、カスタマイズ部品などなど。バイクのカタログよりも分厚いです。
伍魚福としてもベンチマークすべき企業のひとつです。
この本との出会いに感謝。
ありがとうございました。