株式会社伍魚福 代表取締役社長

読書メモ2008.07.27(Sun)クライマーズ・ハイ

横山秀夫さんの小説です。
クライマーズ・ハイとは登山時に興奮状態が極限まで達し、恐怖感が麻痺してしまう状態をいいます。
映画化され、この夏公開されています。
群馬県の地方新聞社を舞台に、日航機事故を追いかける記者の人間模様が描かれています。
先週5連休を取らせていただいた際に家内と2人で観に行きました。2時間を越える大作ですが、時間の経つのを忘れて見入りました。

心理学の用語に「フロー」というのがあります。フロー状態というような使い方をされることが多いようです。何かに没頭して時間の経つのを忘れるような状態をいいます。
ハンガリー生まれのアメリカの心理学者であるミハイ・チクセントミハイという人が提唱した概念です。

私はこの言葉を関西学院大学の佐藤善信教授から教えていただきましたが、クライマーズ・ハイという状態もこのフロー状態のひとつなのでしょう。

何かに集中して没頭したときの時間の感覚。あっという間に何時間か経ってしまっている。誰しもそんな経験があると思います。一流のスポーツ選手や芸術家は意識的にこの状態を作り出すとも言われています。

チクセントミハイ氏は「楽しむ」ということを研究されており、「楽しみの社会学」という著書の中でフローという概念を提唱されたそうです。

Wikipediaによれば、チクセントミハイ氏はフロー体験の構成要素として以下の8つを掲げているそうです。

1.明確な目的(予想と法則が認識できる)
2.専念と集中、注意力の限定された分野への高度な集中。(活動に従事する人が、それに深く集中し探求する機会を持つ)
3.自己に対する意識の感覚の低下、活動と意識の融合。
4.時間感覚のゆがみ – 時間への我々の主体的な経験の変更
5.直接的で即座な反応(活動の過程における成功と失敗が明確で、行動が必要に応じて調節される)
6.能力の水準と難易度とのバランス(活動が易しすぎず、難しすぎない)
7.状況や活動を自分で制御している感覚。
8.活動に本質的な価値がある、だから活動が苦にならない。

我々の目指している、日々の仕事を「楽しく」できるようにするということは、フロー状態になれるような環境を作るということとつながります。

会社も人間の集まりですから、心理学的なアプローチも重要になってくるのかもしれません。
引き続き勉強、そして実践を続けて行きたいと思います。